COLUMN
#36:移動試合

みなさんこんにちは、読売巨人軍スペイン語通訳の加藤直樹です。このコラムを書いている5月は試合スケジュールが過密なこともありプロ野球チームで働くに当たって、スタッフも体力的にタフである必要があるなぁとひしひし実感しているこの頃です。今月は特に私自身も体調を崩しかけるときがあり、本回はそのとき体験についてです。
◼️5月の完全休養日は1日のみ
そもそも5月はゴールデンウィークによる9連戦があり休日は少なめですが、さらに今年はは毎週遠征が組まれ普段は休養日となる月曜日も遠征先への新幹線移動が入りました。気分的にも身体的にもゆっくりできる日がなかなかない中で、とりわけ「移動試合」の日は大変です。例えば広島で試合をした翌日の午前中に広島から帰京して同日の夜に東京で試合をしたり、逆に広島へ移動して試合をしたりします。移動試合の日は一日がとても長く、朝早くから長時間電車で移動した後に球場入りしナイターゲームをこなしますが、全て終わって帰宅すると夜中0時に近いこともしばしばあり、さすがにベッドに横になる時は疲労困憊になります。
◼️ホテルで食事は夜中の0時
先日、甲子園球場で阪神タイガースとナイターゲームがありました。両軍一歩も譲らない接戦は9回で決着がつかず延長戦に入ります。最終的にはなんとか勝つことができたものの試合時間は4時間18分にも及んでいました。ホテルへ戻り選手と食事を開始したときはすでに日付が変わっており、その後自分の部屋に戻ったのは夜中1時。さらにこの時は、翌日新大阪駅から帰京し午後には東京ドームで練習とナイターゲームという日程で、激戦のあとの体にはなかなか大変です。食事をしながら担当選手と翌日(もはや当日)の帰京時間を確認すると始発で帰りたいとのこと。選手は球場から比較的近い場所に住んでいるので自宅に一度帰宅後少し休むことができますし、家族持ちの選手は自宅で家族が待っているので、始発で帰りたがることは珍しくありません。ただ、選手と一緒に帰る通訳者としては内心悲鳴をあげます。始発に乗る場合は日が昇る前の4時30分頃に起きる必要があり、今から寝ても3時間ちょっとしたら起きなければなりません。選手と違い、球場から家も遠いので自宅で休む時間もさほどありません。さらに通訳者という立場でプレーはしていないにせよ4時間以上の延長戦のあとでまだ気持ちも昂ぶっていることや食事のすぐあとでなかなか寝付けないだろうということも予想されました。一方、寝付けたとしても3時間後に寝坊せずに起きることができるだろうか・・・。そんなことを考えていたら眠くなるどころか、どんどん目が覚めてきてしまいました。
■一睡もできずに東京ドームへ
結局その夜はそのまま寝付くことができずに、気がつくと朝4時になっていました。もう寝ることは諦め、一睡もせずに帰京することになりました。帰京の新幹線の中でも目はつぶりましたがゆっくり寝れるわけでもなく、一度帰宅はしましたが、着替えたりシャワーを浴びたりしたらすぐに球場へ向かいます。その日は変に脳が覚醒しているような状態で業務中に眠くなることはありませんでしたが、辛いのは一度緊張状態に入ってしまった脳はなかなか臨戦体制を解いてくれず、そこから二日間ほど夜寝付けない日が続きました。そして案の定それから二日間ほど鼻水が止まらず体調不良になってしまいます。幸い熱はなかったので業務し続けましたが、三日四日経ってようやく普段通りに眠ることができた時は本当に安心しました。この時は体が休息を求めていて寝たいのに寝れないことほど辛いことはないと身をもって実感しました。
今回の件を通して過密なスケジュールで毎日プレーを続ける選手のすごさを改めて感じましたし、リスペクトの思いもますます強くなりました。それと同時に選手を支える私たちが健康でいることの大切さ、体力的にタフであることの重要性も認識しました。それ以来、夜遅すぎる時は食べない、寝付けを良くするために寝る前のスマホは見ない、などなど睡眠の質を高めるための方法にも気をつけるようにしています。不規則になりがちな現場ではありますが、その中でできる体調管理への意識は常に持ち続けたいと思います。
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加藤直樹
福島県出身。スポーツメーカー勤務後、独立行政法人国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員として活動。その後、ジャイアンツアカデミーコーチを経て現在、巨人軍スペイン語通訳。