コラム

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加藤直樹

#41:オールスターゲーム

毎年7月になるとオールスターゲームが開催されますが、担当の外国人選手が選出されたときは通訳者も同行します。私はこれまで縁がなかったオールスターでしたが、今年初めて担当選手が参加することになり初めてのオールスターゲームを経験することができました。

■異なるスタジアムで2試合開催

米国メジャーリーグは一試合だけですが、日本のオールスターは2試合開催されます。1試合目と2試合目と場所を変えてプレーするのが恒例で、今年はまず大阪の京セラドーム、そのあとに横浜スタジアムでの開催でした。オールスターを挟んでシーズン前半・後半と分けられ、前半戦終了から後半戦再開まで4日間空くのが通例ですが、東京に本拠地を置くジャイアンツの選手は1日が大阪への移動日、二日目は大阪にて試合で三日目は午前中に帰京して午後試合、更に今期日程では後半初戦が広島でしたので四日目は広島移動日で、オールスター出場の名誉はあれど体力的には休まる日のない忙しい日程となりました。一方、出場しない選手やスタッフにとってはシーズン中唯一の”ニ連休”が取れる期間でもあり、家族旅行や観光など心身のリラックスができる貴重な時間でもあります。

■業務はシーズンと同じサポート

やることは基本的にシーズン中と変わらず、移動のサポートやミーティング、練習や試合での通訳です。さらに、今回はオールスターということで、横浜スタジアムの試合前には各球団の選手がチームごとに私服姿でファンの前を歩くイベントやYouTube のabema TV向けのインタビューがありましたので、イベントの流れやインタビュアーの質問を通訳する機会もありました。また、祭典ということで家族を連れて行く選手も多く、私の担当選手も来日していた家族と一緒に大阪に入りました。食事場所を探したり、ルームサービスの代理注文、タクシー手配や新幹線チケットの購入など事務作業も通訳者が担います。

■他球団との交流

普段はライバル同士の選手たちですが、オールスターではリラックスした様子で談笑したり、歓談したりする姿が多く見られます。通訳である自分も、普段はなかなか他球団のスタッフの方と接する機会がありませんが、オールスターでは他の外国人選手と帯同してきていた他球団の通訳の方とお話をする貴重な機会となりました。球団によっては通訳業務の範囲に違いがあることもわかり、中には通訳者が外国人選手の運転手を任されるケースもあることもわかりました。語学スキル以外にマネージャー的業務が求められるのはどこでも共通するのは確かですね。

各チームの主力選手が集まるオールスターならではの迫力を間近で感じることができたオールスター初参加。経験させてくれた担当選手はもちろんですが、シーズン唯一の連休期間であったはずのこの時期に業務となったことに理解を示して快く送り出してくれた家族にも感謝したいと思います。

加藤直樹

加藤直樹

福島県出身。スポーツメーカー勤務後、独立行政法人国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員として活動。その後、ジャイアンツアカデミーコーチを経て現在、巨人軍スペイン語通訳。

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