COLUMN
#19:プロ野球通訳者の一年

みなさんこんにちは、読売巨人軍国際部スペイン語通訳の加藤直樹です。コラムを書いている9月現在、プロ野球シーズンもいよいよ残り試合僅かとなってきました。ここまでおよそ130試合を消化してきましたが月曜日を除いて毎週6試合、ゴールデンウィークやお盆などの時期には9連戦の日程もあり、選手はもちろんですがスタッフも体力勝負となるのがプロ野球の世界です。この回はプロ野球チームの一年間のスケジュールと、通訳業務の一年の流れについて紹介します。
■シーズン中の休日は月2~3日
新年は1月中旬辺りから徐々に外国人選手が来日し、球団通訳の仕事も始まります。この時期はまだ通訳者の間でシフトを組むなどして週2〜3日勤務ですが、2月のキャンプではまるまる1ヶ月沖縄又は宮崎でホテル滞在しながら業務に当たります。休養日はありますが外国人選手の対応で通訳者にとって実質的に休みはないともいえるでしょう。3月からはオープン戦の準備期間を過ごし、3月末からシーズンが開幕します。シーズン中は月曜日を除いて土日祝日も全て試合日程が組まれていますので、休日は月曜日のみですが、実際は試合前日の移動日に設定されることが多く完全休日と言えるのは月2~3日ほどの場合がほとんどです。
シーズン後は秋季キャンプや都内での秋季練習がありますが、若手外国人選手を除いて大半の外国人選手は参加を免除されそれぞれ帰国します。この時期は残っている外国人選手の対応や来季外国人選手の来日手続きなどを通訳者間でシフトを組みながら業務を行います。業務量、稼働日は減りますので通訳者にとっても少し休養に当てる時間が取れる時期でもあります。
-1月 | 外国人選手受け入れ。住居手配や住民登録手続き。練習時の通訳。 |
☆2月 | キャンプスタート。4勤または5勤ごとに休日。場所は沖縄又は宮崎県。 |
☆3月 | オープン戦。10日間ほどの関東外への遠征。3月後半にシーズンスタート。 |
☆4月 | 試合がない月曜日を除く火曜から日曜まで毎日試合。 |
☆5月 | ゴールデンウィークの休日に連動して連戦が組まれることも。 |
☆6月 | パ・リーグチームとの交流戦。北海道や福岡遠征も。 |
☆7月 | オールスター試合。出場しない選手・スタッフはシーズン中に唯一の二連休。 |
☆8月 | お盆中は試合が組まれるため連戦が続く。 |
☆9月 | 月末にシーズン終了。 |
-10月 | プレーオフ/日本シリーズ。不進出の場合は選手帰国準備及び帰国後事後処理。 |
-11月 | 若手外国人選手は都内で秋季練習又は宮崎県キャンプ。 |
-12月 | 来年来日予定の外国人選手の来日準備。 |
☆チームに帯同し最も忙しい時期
– オフシーズン。シフト制勤務で週2〜3勤務。まとまった休みも調整できる。
■ 一軍帯同の場合は月の半分は遠征
ご存知の方も多いと思いますが、読売巨人軍が所属するセ・リーグには広島カープ、阪神タイガース、中日ドラゴンズと3球団関東圏外にありますので、それぞれのチームと対戦するときは遠征しホテルに滞在します。基本的に三連戦ですので、前日入りして試合翌日に帰京する日程の場合は4泊5日、二か所以上連戦が続く場合は一週間以上自宅を離れるケースも珍しくありません。二軍の場合は、関東付近のチームがほとんどですので、遠征は月に一回か多くても二回ほどで、自宅通勤の割合は増えます。それでも、日程は基本的に一軍に合わせて設定されますので、シーズン中の休みは基本週1日になります。
○2024年9月の実際のスケジュール例(一軍)
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
1 大阪 | ||||||
2 大阪 | 3 大阪 | 4 大阪 | 5 岐阜 | 6 東京 | 7 東京 | 8 東京 |
9 広島 | 10 広島 | 11 広島 | 12 広島 | 13 東京 | 14 東京 | 15 東京 |
16 東京 | 17 休み | 18 東京 | 19 東京 | 20 広島 | 21 広島 | 22 甲子園 |
23 甲子園 | 24 休み | 25 横浜 | 26 横浜 | 27 東京 | 28 広島 | 29 東京 |
30 休み |
2月のキャンプインに始まり、9月のシーズン終了、もしくはプレーオフが終わる10月までの間、息をつく間もなく駆け抜けるのがプロ野球の仕事です。体力はもちろん、勝ち負けがかかる緊迫した試合を次から次へとこなしていく精神的タフさも求められます。私は通勤時にスペイン語の書籍を読んだり、スペイン語のポッドキャストを聞いたりすることで気持ちをリセットし整え、同時に業務に備える(スペイン語を聞く読むことで)ことをルーティンとしています。日々の健康管理に気を付けることは当然ながら、気持ちの切り替えができるちょっとした趣味やリラックスの方法があると長いシーズンを戦う上で役立つでしょう。
今回のコラム皆さんの参考になれば幸いです。
それではまた次回お会いしましょう。
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加藤直樹
福島県出身。スポーツメーカー勤務後、独立行政法人国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員として活動。その後、ジャイアンツアカデミーコーチを経て現在、巨人軍スペイン語通訳。