COLUMN
第45回:友人との再会

プロ野球では毎年この時期になると、戦力外や自由契約を通告されたり、日本シリーズ終了後に他球団へのトレードが発表されたりする選手が出てきます。これは外国人選手も例外ではありません。今年もすでに1名の外国人選手がチームを去りました。この時期は来年に向けて英気を養う時期であると同時に、別れの季節でもあります。この仕事で辛いのは、遅かれ早かれ、親しくした外国人選手との別れがやってくるところです。1年でチームを去る選手、複数年契約で長期間在籍する選手など、共に過ごせる時間は人それぞれですが、最後には必ず別れが訪れます。
2年前の日本シリーズ終了直後、上司からの連絡で、私が懇意にしていた外国人選手がトレードでチームを去ることを知りました。彼は私と同じ年に入団した選手で、1年目は1軍で活躍していましたが、2年目はなかなか出場のチャンスに恵まれず、ファームで私が彼の担当通訳を務めていました。春季キャンプやシーズン中、行動を共にするうちに仲良くなり、遠征先ではふたりで外食するような間柄でした。彼の人柄のよさは誰もが知るところで、再び一軍で活躍することを目標に必死にもがき苦しんでいました。シーズン終盤には再び1軍に復帰したものの、1年目に収めたような輝かしい成績は残せませんでした。この年が2年契約の1年目だったため、翌年も共に仕事ができると思っていたところ、日本シリーズ終了後に他球団への移籍が発表されました。
その後も私たちは連絡を取り続けました。翌年のオープン戦で相手チームのユニフォームを身にまとった彼と再会したときは、久々に顔を合わせてうれしかった半面、とても複雑な気持ちになりました。移籍先でも出場機会が限られ、本来の実力を発揮できなかった彼は、昨シーズン終了後に自由契約を通知されました。あくまで現役続行にこだわった彼は、一度米国に帰国してトレーニングを続けつつ他球団のオファーを待っていましたが、最終的に日本の独立リーグのチームと契約しました。
巡り合わせとは不思議なもので、彼が入団したチームは、私が住む地域で主催試合を行います。また、先日彼が所属する球団が開催したファンフェスティバルは私の自宅から徒歩圏内に位置する球場で行われたため、今回は通訳としてではなく、ひとりのファンとして彼の雄姿を見に行きました。イベントが終わると、あらかじめ約束していたように近くのレストランへ赴き、昼食をとりながら久々に旧交を温めました。選手と通訳は共に仕事ができる時間が限られています。選手が退団する際はさびしい思いをしますが、気心知れた選手とは退団後も付き合いが続きます。業務を通して生涯の友人と出会えるのも、球団通訳者の仕事の魅力のひとつです。
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前田悠也
東京都出身。中学から米国に留学。現在、巨人軍英語通訳