コラム

COLUMN

前田悠也

第4回:オドーア選手来日

去る2月15日、宮崎キャンプを終えた一軍が那覇に移動した日の夜、ついにルーグネッド・オドーア選手が来日しました。
契約が発表されたのは1月でしたが、ビザの発給に時間がかかったため那覇キャンプからの合流となりました。オドーア選手はベネズエラ出身で母国語はスペイン語ですが、メジャー在籍が長く英語も堪能なため、私が彼の通訳を担当することになりました。

翌16日、巨人軍がキャンプで使用する沖縄セルラースタジアム那覇にて、さっそく入団会見が行われました。球団通訳者は新外国人選手が入団するたびに、記者会見や入団後の良好な関係構築に役立てようと、その選手のことを勉強します。収集できる情報は全て収集して、会見の際にどのような質問を受けても的確に通訳できるように準備を怠りません。これらの作業をあらかじめしておくことで、記者会見も過度に緊張せずに臨むことができます。

無事に会見を終えた翌日、食事会場で朝食を摂っていると、向かいに座ったオドーア選手が、聞き覚えのある声の主とFaceTimeで話をしています。会話の内容から相手も野球選手であることは想像できましたが、邪魔をしないように私は無言で食事を続けます。
すると突然、オドーア選手が「ユウヤ!あいさつして!」とスマホの画面を私に向けます。画面に映っていたのはなんと日本のエース、サンディエゴ・パドレス所属のダルビッシュ有投手でした。突然のできごとに思わず朝食がのどに詰まりそうになりましたが、なんとかごあいさつをしました。

オドーア選手はメジャー時代、レンジャーズとパドレスで計5年間、ダルビッシュ投手とチームメイトとしてプレーした仲で、同投手には和食レストランに連れていってもらうなど、たくさんかわいがってもらったとのことです。
そのため、ベネズエラが母国のオドーア選手ですが、箸も日本人と同じように使いこなし、ホテルの食事会場で提供される寿司などもおいしそうに平らげるなど、時折外国人選手に見られる日本食に対する苦手意識なども全くないようで、選手の偏食に苦心することも多い球団通訳者としては非常に助かりました。
ダルビッシュ投手は他にも、昔から親交のある坂本選手やWBCで共に戦った岡本選手などに連絡して、「オドーアのことをよろしくね」と声をかけるなど、彼が日本での生活に順応できるように米国からサポートしてくださっています。

次回のコラムでは、那覇キャンプの様子や、オープン戦について書きたいと思います。

前田悠也

前田悠也

東京都出身。中学から米国に留学。現在、巨人軍英語通訳

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